ソウル事務所では、2009年度に韓国地方行政研究院(KRILA)*と「協力及び情報交流に関する協約(MOU)」を締結し、共同で研究活動やセミナー開催を行っています。
今年度は、「地方創生」をテーマに比較研究を行うこととしており、2015年7月16日(木)に開催した共同研究会に続いて、2015年11月11日(水)に共同セミナーを開催しました。
『2015日韓共同セミナー』
【概要】
1 日時:2015年11月11日(水)14:30~17:50
2 場所:大韓商工会議所 議員会議室
3 主催:日本自治体国際化協会、韓国地方行政研究院、ソウル新聞社
4 後援:日本国総務省、大韓民国行政自治部、ソウルジャパンクラブ
5 主題:日韓地方再生及び創生
6 発表テーマ及び発表者:
(基調講演) 「佐賀県における地方創生」
佐賀県知事 山口 祥義 氏
(日本側発表)「日本における地方創生の取組み」
政策研究大学院大学 教授 高田 寛文 氏
(韓国側発表)「韓国の地方自治団体における地域再生方案」
韓国地方行政研究院 地域発展研究室長 ?沼映 氏
【発表内容】
(基調講演)「佐賀県における地方創生」 佐賀県知事 山口 祥義 氏
佐賀県の地域資源を活かし、人口減少を抑えながら、将来にわたって地域の活力を維持する取組みとして「佐賀県まち・ひと・しごと創生総合戦略」を説明され、住民自らが自分たちで行うこと、そして地域に誇りをもつことの大切さを強調されました。
また、地方創生へのポイントとして、「地域自らの取組」、「外部の力を活用」、「「心の過疎」から「誇りの地域」へ」を挙げられました。
◎「佐賀県まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成27年~31年度)
1) ひとづくり・ものづくり佐賀
~安定した雇用を創出し、若者の県外流出を抑える。
2) 本物を磨き、ひとが集う佐賀
~新しいひとの流れをつくり、地域経済の縮小を抑え、地域に新しい活力を生み出す。
3) 子育てし大県佐賀
~若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえ、年少人口の減少を抑える。
4) 自発の地域づくり佐賀
~時代に合った地域をつくり、人口減少社会に対応した地域の活力を維持する。
(日本側発表)「日本における地方創生の取組み」 政策研究大学院大学 教授 高田 寛文 氏
山口祥義知事による佐賀県の事例もふまえながら、地方創生の取組みについての日本全体の動きをご説明いただきました。
世論調査や統計資料を用いて日本の少子高齢化と人口減少、そして東京圏への人口の過度の集中状況について説明されたうえで、国の「まち・ひと・しごと創生」総合戦略を紹介。
・国民一人一人が夢と希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営むことができる地域社会の形成(まち)
・地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保(ひと)
・地域における魅力ある多様な就業の機会を創出(しごと)
これらを一体的に推進することで、活力ある日本社会が将来にわたって維持されることが期待されています。
また、地方創生成功のカギとして、「ワンストップ窓口や支援体制の充実」、「地域の強みを活かした戦略的思考」、「住民や関係団体、民間事業者の参加と協力」、「政策目標の設定とPDCAサイクル」を挙げられました。
(韓国側発表)「韓国の地方自治団体における地域再生方案」
韓国地方行政研究院 地域発展研究室長 ?沼映 氏
住居環境の悪化や雇用の減少、集団的貧困化などの特徴がある地域を「衰退地域」とし、人口増減率や空き家率、財政自立度などのデータをもとに、韓国内の多くの地域が「衰退地域」であると指摘。国家均衡発展特別法や都市再生活性化及び支援に関する特別法などの関連政策でも、「衰退地域」を再生させるのには限界が見えています。
断片的で対処療法な政策に留まり自治体自らが力を発揮できない状態に陥っており、その対応策として、まず中央政府が包括的な財源を支援し、自治体は地域特性に合った再生戦略を推進する自立的な地域再活性化の取組みの必要性を説かれました。
【討論】
日韓の討論者を交え、各発表を掘り下げるとともに、日韓の地方創生や都市再生への取組みについて比較考察がなされました。来場者からも声が上がり、地方の厳しい現状や日韓の取組みの違いについてご意見がありました。
参考資料(添付参照)
1 「佐賀県における地方創生」 (基調講演資料)
2 「日本における地方創生の取組み」 (日本側発表資料)
3 「韓国の地方自治団体における地域再生方案」(韓国側発表資料)