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一生の宝物★JET体験記

  • りんご県です!
  • 2017-04-18
  • チェ・ユソン

    青森県 2011年4月~2015年4月 CIR

    青森県国際経済課

  • 1.JETプログラムとは? 
     JETプログラムは簡単に申し上げますと、日本の地方自治団体で勤務する国際交流員(CIR)と外国語指導助手(ALT)、そしてスポーツ国際交流員(SEA)の三種類に分けることができます。韓国のジェットプログラムの参加者のほとんどは国際交流員として勤務をしており、私も国際交流員の一人でした。
     
     私は数回苦杯を喫した末にようやく国際交流員になりましたが、今考えてみると落ちた理由ははっきりとしていました。「国際交流」に興味があって志願しましたが「実際の業務」は交流ではなく交流のために多くの書類と連絡のための窓口として役割を果たすことができるのか、つまりそれだけの「言語能力、実務能力」を持っているかどうかにかかっていて、私はそれほどの実力がなかったので何度も落ちたのだと思います。
     
     韓国のJETプログラムの参加者は60人程度で、各自治体や学校ごとにJETプログラムがどんな仕事をするのかを明確に言える人は少ないと思います。自治体によって業務配置が異なり、組織の状況に応じて毎年の業務が異なるからです。役所で公務員のように働く参加者がいる一方、韓国文化の紹介や交流行事が主な業務である参加者もおり、同じ自治体でも方針が変わり前任と全く別の仕事をする場合もあります。
     
    2.青森での体験 
     私の場合、1年目は学校訪問や市民講座が多く、2年目は学校訪問や翻訳と通訳の仕事が中心で、3,4年目は青森県の広報活動と通訳・翻訳を中心に仕事をしました。ここでは私がした主な業務を中心に話をしていきたいと思います。
     
    . 1年目
     県庁は韓国の道庁と同じ役割をしている所で、そこで勤務する国際交流員は県全体を対象に業務を行うことになります。例えば水原にある京畿道庁に勤務しているとすると、京畿道の議政府市にある小学校で韓国文化を紹介してほしいと依頼が来ると、そこに行って韓国の文化を紹介するといった内容の学校訪問があります。一時間の授業のために往復5時間の距離にある小学校に行ってきたこともたくさんあり、同期の一人は離島で異文化交流の依頼があり、高速船に乗り往復6時間をかけて行ってきたこともあります。
     
     学校訪問はハンボクを着て韓国の歌を教えたり、伝統の遊びを教えたり、韓国について説明するなど、JETプログラムの参加者たちが日本に来る前に考える「国際交流」のイメージに合う業務だと思います。「笛を吹く男」のように、子供たちが私についてきながら楽しんでいる姿をみると私も非常にやりがいを感じますが、逆に無反応である時には「何か間違えたのかな?」と一日が憂鬱になる時もありました。
     
     そこで出会った日本人たちは韓国についてテレビやインターネット上で得た情報がすべての人も多く、数十年前に訪問した人たちが昔の経験や記憶だけで韓国を判断して焦った記憶もあります。韓流ブームで韓国のイメージがいい時に訪問すると韓国のアイドルのように迎えてくれた時もありましたが、日韓関係が悪化し理由もなく非難を受けた経験もありました。最初は状況に応じて気持ちが高まったり一瞬にして落ち込んだりしましたが、月日が経つにつれ「山は山であり、水は水である」と自分に言い聞かせながら一人で克服しました。また、子供たちから手紙をもらったり、不器用ながら私の顔を描いた感想文を送ってくれたりするとなんだか胸が熱くなりました。

    . 2年目
      地域によって異なりますが、JETプログラムの参加者なら誰でも一度は経験する通訳・翻訳の業務は、日本語がうまくても早口で話す祝辞をその場で完全に通訳することはとても難しいです。でもそれができる人が自分しかないなかったら?するしかないでしょう。私は通訳・翻訳を専攻していたので方法は知っていましたが、舞台恐怖症があったのでイベント通訳や知事通訳をする時にはとても緊張しました。
     
     そして「聞いたとおりに話せばいい。」と、通訳にどれほどの準備を要するのか分からない方々が多く、全く内容を知らない相手側の通訳をその場でしなければならない場合もありました。青森県内の観光名所はすべて歩き回りながら通訳をしたので、後には私が直接ガイドをすることができるようになり、見たこともない草木を説明しなければならない場合もありました。そして、青森県はりんごが有名なのでりんご研究所に行き、リンゴの種類ごとにどのように栽培をしてどのような病虫害があるのか、​​などを説明することもありました。
     
     この文章を読みながら「私はしたこともないのにどうしよう?」と恐れている人もいると思いますが、心配しなくても大丈夫です。皆さんが担当する通訳はほとんど数ヶ月前から連絡をとってやり取りしながら作った行事や表敬、訪問の通訳なので、担当者に資料を要求することができます。資料といえば、その日に話す内容を整理してもらうものだと勘違いする人がいますが、それではなく話の大まかな内容のことです。背景知識があれば戸惑うことも少なくなり、通訳をうまくこなすことができるので、誤解せずどのような目的で今までどのような話をしたのかを些細な部分まで聞いて準備しておくと問題はないと思います。

    . 34年目 
     毎年状況に応じて業務の内容も変わると言いましたが、3・4年目は本当に忘れられない経験をたくさんしました。主に青森県をPRする業務でしたが、広報のDVDに出演したり、観光展で直接広報をしたり、観光ルートを直接作って行ってみたり、それを旅行会社に提案する業務をしました。
     
     最も記憶に残っている仕事は、2014年の日韓交流おまつりで日本でも有名な青森県の祭りである「ねぶた祭り」を広く知らせたことです。青森県のねぶた祭りは「ねぶた」と呼ばれる大型の提灯と太鼓や笛などの演奏、「ハネト」と呼ばれる踊り手が三位一体となり遊ぶお祭りですが、そこで私が踊り手のリーダーとなって、ボランティアの方々と一緒に踊ることになりました。
     
     私が踊り手のリーダーであることをサプライズプレゼントのように当日知らされ、頭の中は少し複雑になりました。「避けることができなければ楽しむしかない」と心を入れ替えましたが、それでも恥ずかしさ半分と悩み半分で苦悩しながらボランティアの方々に踊りを教え、私たちの出番を待ちました。
     
     ハネトになり2分ほど演奏に合わせて踊りましたが、その前の日本の有名な阿波踊りや沖縄の伝統舞踊とは変わった踊りに「なにこれ?」といった冷たい反応でした。私の思考機能は一瞬止まり、この状況をどうにかしてでも変えなければならない、という思いでした。私は観客たちに近づいていき一緒に踊るように誘導しましたが、やはり「興」といえば韓国!韓国の観客の方たちからの反応があまりにもよく、「ねぶた祭り」をCOEXで再現することができました。そして、別所前日本大使もその場で一緒に踊りながら楽しんでいただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。
     
    . その他の経験 
     青森は人口30万人の都市の中で積雪量が世界1位の所です。「雪」といえば北海道の札幌を思い浮かべますが、実は青森の方が雪の量は多いです。1年のうち6ヶ月は雪を見ることができ、その中の3ヶ月は市内でそりを引いていてもおかしくないくらい雪がたくさん降るところです。

     家の前で吹雪が吹き荒れ道を失った時もあったし、大雪で電車もバスも止まってしまい、雪の中を一時間以上かけて家に帰ったこともあります。それでも真冬は私のように他国から来た国際交流員の友達と一緒に家で伝統料理を作って食べながらクリスマスや新年を迎える特別な経験もし、誕生日パーティーをしたり、遊びに行ったりと良い思い出がたくさんあります。
     
     JETプログラムの最もよい点は気が合う友達に出会えるということだと思います。同じ年に韓国から日本へ行った同期とは遠く離れていますが、お互いの悩みを分かち合うことで強い絆を感じることができ、同じ地域に住むJETプログラムの参加者たちは、お互いの状況を知っているので共感することができます。そして地域住民とも仲良くなることができます。もちろん合わない場合もあったりしますが、他国で打ち解ける人に出会えるのがどれだけ幸せなことか、実感しました。
       
    3JETプログラムの経験を生かして就職する
     JETプログラムがあなたの人生にどのような影響を与えるかはよく分かりません。しかし、任期が定められた職業であるため、次の進路をどのように選択するか悩む必要があります。私の他にJETプログラムの参加者の中には、この経験を生かして韓国の役所に入ったり、まったく関係のない企業に就職したり、勉強を続けている人もいます。
     
     私はJETプログラムを通して仕事をしながら、大使館や領事館、韓国文化院と接する機会が多く、在外公館で仕事をしてみたいと思いました。そして運よくいい機会があったので挑戦した結果、今は大阪総領事館で勤務しています。自己紹介書で日本の役所で勤務した経験と在外公館との関連性を強調しましたが、このような経験をした人が珍しいのでこの点がメリットになったと思います。
     
     もちろん、私と違ってJETプログラムをしながら新たに挑戦したいことが見つかるかもしれません。一つ話しておきたいのは、JETプログラムが私に新たな道を開いてくれたように皆さんにも新たな道を開いてくれると思います。